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あぶぶろ

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このネタももう最後。

4度目ともなると、流石に慣れたもの。
別れ行く悲しみは感じれど、これも運命と思いながら口を開く。
初老気味の先生がゆっくりと麻酔針を歯茎に刺す。
「先生。なんで先生は初老なのに他の病院の人たちは若い女性ばかりなんですか?」
そんな疑問も口を開かされているので言えなかった。
痛みも感じず、歯茎が麻痺していくのが感覚で分かる。少し痺れがやってきて、そして何も感じなくなるのだ。
「はい。それじゃあいきますから、ちょっとこっち向いてね」
医者の言葉に素直に従う。
今のうちは無力な一患者。まな板に乗った鯉の如く「もう勝手にしてくれ・・・」って気分。
医者が椅子の後ろでごそごそと何かを探っているのが音で分かる。目を瞑っているうちには分からないが、経験から嫌な予感がしたことは言うまでも無い。
キュイイイイイイインンンン。
ほら・・・きた。





「親知らずを削りますね」
もうええ・・・勝手にすればええ・・・・・・。



隣の歯が邪魔をして直接は抜けないらしいのだ。
流石はうちの親知らずというか何と言うか。その命は風前の灯となっても、まだ抵抗する力を残している。
そんな抵抗もむなしく、医者の持った精神的にあまりよろしくない武器は、うちの親知らずを削っていった。



「抜くからもっと口開いて」



唇・・・裂けそうなんですけど・・・・・・。
我慢して必死に口を開けていると、つられて目も開いてしまった。
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・見るんじゃなかった。









・・・それ、ペンチですか?








器具の名称なんて分かるわけがない。ただペンチに限りなく似ているそれがうちの口の中へと入っていったことだけは理解できた。
歯に何かが当たる。
続いて医者の腕に力が入るのが分かった。

ミシミシ・・・。 ミシミシミシミリ。

そんな擬音を響かせてうちの親知らずは抜けた。
「はい抜けました。じゃあ洗浄しますね」
付き添いの女の人(看護師?)が言う。
水を親知らずがあった場所に吹き付けさせながら、何か先の尖った金属的な物で洗浄。

カラカラカラン。

・・・。
それってその金属的な尖ったやつと骨が当たっている音なんですかね・・・。いや、知りたくは無いですがね・・・。




とりあえず無事に最後の親知らずとさようなら。
いつも通り。

「30分はこのまま噛み締めていてくださいね。それから麻酔が切れるまで食事は無しで。アルコールは厳禁。うがいと歯磨きも今日はひかえて下さい」

そして薬の書かれた紙を渡された。
これをもって近くの薬局まで行って処方してもらうのだ。
早速行こうかな。

近くのコンビニで立ち読みしてから。




「いらっしゃいませー」

明るい声が店内に響く。
期待に背いてその声の主は若くは無いおばさんではあったが、人懐こそうな極上の笑顔で抜歯直後のうちを癒してくれた。
・・・すみません。これから立ち読みするんです。
心の中で謝罪して、迷わず雑誌のコーナーへ。

うむ。やはり雑誌は立ち読みに限る。
イクナイプレイヤーなのは百も承知だが、背に腹は変えられない。つまりはお金がもったいない。
それでも何も買わずに店内を出るのは気が引けるので、うちはいつも立ち読みをした際は、お茶を買ってから出るようにしている。

その日も何気なしにサントリー烏龍茶を手に取り、ぐるっと一周してレジに・・・・・・・・・。





!!?





うちの足がピタリと止まった。
目は一点に釘付け。書かれている文字を何度も読み返す。






くろぶた・・・。黒豚・・・・・・。黒豚トンカツ!!






新発売のオニギリじゃないか!?
うちの視線はそれに注がれていた。
いや、別に黒豚が好きとかトンカツが好きとかいう話ではない。ただ単にうちが『非常に新発売に弱い』というだけの話だ。
そうだな。分かりやすく書くとこの程度だ。



期間限定 > 数量限定 > 新発売 > ○○番組で > 店長オススメ


といったところだろうか。

うちは迷った。
本気で迷った。
なにせ、今のうちは親知らずを抜いたばかりだ。もう暫くすれば30分が経過して口を開くことも出来るが、麻酔が切れるまで食物を摂取することは不可能だ。

・・・だが、買いたい。

どうするか・・・。
・・・。











!?











・・・やばい天才かもしれない。



抜いた歯は右下の親知らず。
麻酔が切れるまではそこを使ってはならない。
じゃあ簡単なことだ。

「左側で食べればいいんだ」

待つんだ。馬鹿にするんじゃない。
こんなこと誰でも考え付くって思っているだろう?
だが、よく考えてみて欲しい。
・・・これを実行した者がいると思うか?
理屈では完璧なこの方法も、世間的に後ろ指指されかねない背徳性を抱いている。
それをあえてうちは実行しようと!
そんな人は居ないはず。居てもわずか。つまり天才。



どこぞのリバウンド王のような天才力を発揮してしまった。
だって・・・。
食べれたんだ!!
米粒が右端に行かないように上手く舌で調整。
極力右顎は動かさないように。
左顎を小刻みに。
・・・これほどテクニックが必要な作業だとは思っていなかった。
まぁ結果は上手くいったのだ。
反省点を上げるとすれば「・・・味が分からなかった」といったところか。
次に改善しよう。










その後。



近くの薬局に行き、処方箋をお願いする。
作ってもらっている間、うちはそばの椅子に腰掛けて待機。

・・・ん?

口の中に変な違和感。
いや、抜いたはずの親知らずの部分に変な違和感がした。
当然その部分には歯茎に大きな(といっても歯のサイズだが)が空いている。
違和感は感じるだろうが、この違和感はおかしい・・・。
・・・何かが入っているような。

前の3本の親知らずを抜いたときに経験はあった。
入るのだ。
ご飯粒が!!
うちはこうならない為に、さっきのオニギリは気をつけて食べたというのに・・・。どうやら米粒の移動を鈍重な舌が見逃してしまっていたらしい。

行儀が悪いのを承知で、左手の人差し指をそっと突っ込んでみる。
大丈夫、誰も見てない。
まだ血が固まってなかったら怖いので、慎重に、丁寧に、限りなく優しく探ってみる。
何か物体の手ごたえを感じる。

やはりこれはご飯粒に違いない。
・・・うちは意を決して深く指を探りに入れた。






現れた米粒。





うちはそれをじっと見つめる。





「○○さん、お待たせ―――」
言葉が止まる薬剤師。











うちは薬剤師を見た。





彼は見ていた。



















真っ赤に染まった型崩れしていない米粒を・・・。
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コメント

頑張り過ぎwwwwwww

  • 2006/03/30(木) 00:20:59 |
  • URL |
  • でら #-
  • [ 編集]

あぶちって文才あるよね@w@

読んでて面白いよw

  • 2006/03/30(木) 09:33:15 |
  • URL |
  • ek #-
  • [ 編集]

買うだけ買って食べるの後にすればよかったのに(*ノノ)

  • 2006/03/30(木) 13:03:03 |
  • URL |
  • 弓削 #Xn22Lr7c
  • [ 編集]

せんせー

面白すぎですwww

またちょくちょくきますのでヨロシクです

  • 2006/03/30(木) 19:50:08 |
  • URL |
  • タカチキ #qXOZr2Kk
  • [ 編集]

みんな~ありがと~~!!・゚・(ノД`;)・゚・ (ライブ風

文才はありません!ただ小説よく読んでるだけです!!w
読んでる人の文ってけっこう分かるもんだよ。彼方さんとか。。

・・・そして。
【今】食べたかったんです、これが。。何物も鮮度が大事(*ノノ)

  • 2006/03/30(木) 23:36:24 |
  • URL |
  • AB #QXRaNfI.
  • [ 編集]

鮮度とか言っても
どうせ店内で時間が(ry

  • 2006/03/31(金) 19:15:49 |
  • URL |
  • ちょぴ #-
  • [ 編集]

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